5.06 『ランナー』
(a)塁の占有
(1)ランナーが、アウトになる前に他のランナーの触れていない塁に触れれば、その塁を占有する権利を獲得する。
 そのランナーは、アウトになるか、または、その塁に対する正規の占有権を持っている他のランナーのためにその塁を明け渡す義務が生じるまで、その権利が与えられる。
「5.06a・c原注」ランナーが塁を正規に占有する権利を得て、しかもピッチャーが投球姿勢に入った場合は、もとの占有塁に戻ることは許されない。
(2)2人のランナーが同時に一つの塁を占有することは許されない。ボールインプレイの際、2ランナーが同一の塁に触れているときは、その塁を占有する権利は前位のランナーに与えているから、後位のランナーはその塁に触れていてもタッチされればアウトになる。ただし、本条(b)(2)項適用の場合を除く。
(b)進塁
(1)ランナーは進塁するにあたり、1塁、2塁、3塁、本塁の順序に従って、各塁に触れなければならない。逆走しなければならないときも、5.06(c)の各規定のボールデッドとなっていない限り、すべての塁を逆の順序で、再度触れて行かなければならない。前記のボールデッドの際は、途中の塁を踏まないで、直接元の塁へ帰ることは、差し支えない。
「注1」ボールインプレイ中に起きた行為(例えば悪送球、ホームランまたは柵外に出たフェアヒットなど)の結果、安全進塁権が認められたときでも、ランナーが、進塁、または逆走するに当たっては、各塁を正規に触れなければならない。
「注2」“逆走しなければならないとき”というのは、
@フライが飛んでいるうちに次塁へ進んだランナーが捕球されたのを見て帰塁しようとする場合(5.09b5参照)
A塁を空過したランナーが、その塁を踏み直す場合(5.09c2参照)
B自分より前位のランナーに先んじる恐れがある場合(5.09b9参照)
 を指すものであって、このようなときでも、逆の順序で各塁に触れなければならない。
(2)バッターがランナーとなったために進塁の義務が生じ、二人のランナーが後位のランナーが進むべき塁に触れている場合には、その塁を占有する権利は後位のランナーに与えられているので、前位のランナーは触球されるか、野手がボールを保持してそのランナーが進むべき塁に触れればアウトになる。(5.09b6参照)
(3)次の場合、バッターを除く各ランナーはアウトにされる恐れなく1個の塁が与えられる。
(A)ボークが宣告された場合。
(B)バッターが次の理由でランナーとなって1塁に進むために、そのランナーが塁を明け渡さなければならなくなった場合。
@バッターがアウトにされる恐れがなく、1塁に進むことが許された場合。
Aバッターの打ったフェアボールが野手(ピッチャーを含む)に触れる前か、または野手(ピッチャーを除く)を通過する前に、フェア地域で審判員もしくは他のランナーに触れた場合。
「原注」安全進塁権を得たランナーが与えられた塁に触れた後、さらに進塁することは差し支えないがその行為の責任はそのランナー自身が負うだけで、たとえ与えられた塁に触れた後にアウトになった場合でも他のランナーの安全進塁権に影響を及ぼすことはない。従って、2死後そのランナーが与えられた塁に触れた後にアウトになり第三アウトが成立しても安全進塁権がある前位のランナーはそのアウトの後で本塁を踏んでも得点として認められる。
例=2死満塁、バッターフォアボール、2塁ランナーが勢い込んで3塁を回って本塁の方へ向かってきたがキャッチャーからの送球でタッチアウトになった。たとえ2死後であってもフォアボールと同時に得点が本塁に押し出されたので、すべてのランナーに次塁へ進んで触れる必要が生まれたという理論に基づいて得点が記録される。
「注」本項「原注」は、バッターがフォアボールを得たために、塁上の各ランナーに次塁への安全進塁権が与えられた場合だけに適用される。
(C)野手が飛球を捕らえた後、ボールデッドの個所に踏み込んだり、倒れこんだ場合。ベンチまたはスタンド内に倒れ込んだり、ロープを越えて観衆内(観衆が競技場内まで入っているとき)に倒れ込んだ場合。
「原注」野手が正規の捕球をした後、ボールデッドの箇所に踏み込んだり、倒れこんだ場合、スタンド、観衆、ダッグアウト、またはその他ボールデッドの箇所に倒れ込んだり、あるいは捕球した後ダッグアウトの中で倒れた場合、ボールデッドとなり、各ランナーは野手がボールデッドの箇所に入ったとき倒れ込んだときの占有塁から1個の進塁が許される。
(D)ランナーが盗塁を企てたとき、バッターがキャッチャーまたはその他の野手に妨害(インターフェア)された場合。
「注」本項は、盗塁を企てた塁にランナーがいない場合とか、進もうとした塁にランナーがいても、そのランナーも共に盗塁を企てていたために次塁への進塁が許される場合だけに適用される。しかし、進もうとした塁にランナーがあり、しかもそのランナーが盗塁を企てていない場合にはたとえ盗塁行為があってもそのランナーの進塁は許されない。また単に塁を離れていた程度では本項は適用されない。
(E)野手が帽子、マスク、その他着衣の一部を本来つけている箇所から離して、投球に故意に触れさせた場合。
 この際は、ボールインプレイでボールに触れたときのランナーの位置を基準に塁が与えられる。
「5.09b3付記」ボールインプレイのもとで1個の塁に対する安全進塁権を得たランナーが、その塁を踏まないで次塁へ進もうとした場合および2個以上の塁に対する安全進塁権を得たランナーが、与えられた最終塁に達した後はボールインプレイになる規則のもとで、その塁を踏まないで次塁へ進もうとした場合は、いずれもそのランナーは安全進塁権を失ってアウトにされる恐れがある状態に置かれる。従って、その進むことが許された塁を踏み損ねたランナーはその空過した塁に帰る前に、野手によってその身体、またはその塁にタッチされればアウトとなる。
「注」例えば、バッターが右中間を抜こうとするようなヒットを打ったとき、右翼手が止めようとしてこれにグラブを投げつけて当てたがボールは外野のフェンスまで転じ去った。バッターは3塁を空過して本塁へ進もうとしたが途中で気がついて3塁へ踏み直しに帰ろうとした。この際、バッターは、もはや3塁へ安全に帰ることは許されないから、そのバッターが3塁に帰る前に野手がバッター、または3塁にタッチしてアピールすれば、バッターはアウトになる。(5.06b4C参照)
(4)次の場合、各ランナ(バッターランナーを含む)は、アウトにされる恐れなく進塁することができる。
(A)本塁が与えられ得点が記録される場合=フェアボールがインフライトの状態でプレイングフィールドの外へ出て、しかも、各ランナーが正規に各塁に触れた場合。また、フェアボールがインフライトの状態で、明らかにプレイングフィールドの外へ出ただろうと審判員が判断したとき、野手がグラブ、帽子、その他ユニフォームの一部を投げつけて、その進路を変えた場合。
「注1」フェアの打球がインフライトの状態で、明らかにプレイングフィールドの外へ出ただろうと審判員が判断したとき、観衆や鳥などに触れた場合には、本塁が与えられる。送球、またはインフライトの打球が、鳥に触れた場合は、ボールインプレイでありインフライトの状態は続く。しかし、プレイングフィールド上の鳥または動物に触れた場合は、ボールインプレイであるが、インフライトの状態でなくなる。また投球が鳥に触れた場合は、ボールデッドとしてカウントしない。犬などがフェアの打球、送球、または投球をくわえたりした場合には、ボールデッドとして審判員の判断によって処理する。
「注2」“その進路を変えた場合”とあるが、インフライトの状態で明らかにプレイングフィールドの外へ出たであろうと審判員は判断したフェアの打球が、野手の投げつけたグラブなどに触れて、グラウンド内に落ちたときでも、本項が適用される。
(B)3個の塁が与えられる場合=野手が帽子、マスクその他ユニフォームの一部を本来つけている箇所から離してフェアボールに故意に触れさせた場合。この際はボールインプレイであるから、バッターはアウトを賭して本塁に進んでもよい。
(C)3個の塁が与えられる場合=野手がグラブを故意に投げて、フェアボールに触れさせた場合。この際はボールインプレイであるから、バッターはアウトを賭して本塁に進んでもよい。
「注」ここにいうフェアボールとは、野手がすでに触れていたかどうかを問わない。
(D)2個の塁が与えられる場合=野手が、帽子、マスクその他ユニフォームの一部を、本来つけている箇所から離して、送球に故意に触れさせた場合。この際はボールインプレイである。
(E)2個の塁が与えられる場合=野手が、グラブを故意に投げて、送球に触れさせた場合。この際はボールインプレイである。
「BCDE原注」投げたグラブ、本来の位置から離した帽子、マスクその他がボールに触れなければ、このペナルティは適用されない。
「CE原注」このペナルティは、打球または送球の勢いにおされて、野手の手からグラブが脱げたとき、あるいは正しく捕らえようと明らかに努力したにもかかわらず、野手の手からグラブが脱げた場合などには、適用させない。
「BCDE注」野手により、各項の行為がなされた場合のランナーの進塁の起点は、野手が投げたグラブ、本来の位置から離した帽子、マスクその他が打球または送球に触れた瞬間とする。
(F)2個の塁が与えられる場合=フェアの打球が、
@バウンドしてスタンドに入るか、または野手に触れて進路が変わって、1塁または3塁のファウル線外にあるスタンドに入った場合。
A競技場のフェンス、スコアボード、灌木、またはフェンスのつる草を抜けるか、その下をくぐるか、挟まって止まった場合。
(G)2個の塁が与えられる場合=送球が、
@競技場内に観衆があふれ出ていないときにスタンドまたはベンチに入った場合(ベンチの場合は、リバウンドして競技場に戻ったかどうかを問わない)。
A競技場のフェンスを越えるか、くぐるか、抜けた場合。
Bバックストップの上部のつぎ目から、上方に斜めに張ってある金網に上がった場合。
C観衆を保護している金網の目に挟まって止まった場合。
 この際は、ボールデッドとなる。
 審判員は2個の進塁を許すに当たって、次の定めに従う。すなわち、打球処理直後の内野手の最初のプレイに基づく悪送球であった場合は、ピッチャーの投球当時の各ランナーの位置、その他の場合は、悪送球が野手の手を離れたときの各ランナーの位置を基準として定める。
「規則説明」悪送球が打球処理直後の内野手の最初のプレイに基づくものであっても、バッターを含む各ランナーが少なくとも1個の塁を進んでいた場合には、その悪送球が内野手の手を離れたときの各ランナーの位置を基準として定める。
「原注」ときによってはランナーに2個の塁が与えられないこともある。
 例えば、ランナー1塁のときバッターが浅いライトフライを打った。ランナーは1、2塁間で立ち止まっており、バッターは1塁を過ぎてランナーの後ろまできた。打球は捕らえられず外野手は1塁に送球したが送球はスタンドに入った。すべてボールデッドとなったときは、ランナーは進む権利を与えられた塁以上には進塁できないから、1塁ランナーは3塁へ、バッターは2塁まで進む。
「規則説明」“悪送球がなされたとき”という術語は、その送球が実際に野手の手を離れたときのことであって、地面にバウンドした送球がこれを捕ろうとした野手を通過したときとか、スタンドの中へ飛び込んでプレイから外れたときのことではない。内野手による送球がスタンドまたはダッグアウトに入ったが、バッターがランナーとなっていない(3塁ランナーが捕逸または暴投を利して得点しようとしたときに、アウトにしようとしたキャッチャーの送球がスタンドに入った場合など)ような場合は、その悪送球がなされたときのランナーの位置を基準として2個の進塁が許される。(5.06bGの適用に際してはキャッチャーは内野手とみなされる)
例=ランナー1塁、バッターがショートゴロを打った。遊撃手は、2塁でフォースアウトしようとして送球したが間に合わなかった。2塁手はバッターが1塁を通り過ぎてから1塁手に悪送球した。 この場合、2塁に達していたランナーは得点となる。(このようなプレイで、送球がなされたとき、バッターランナーが1塁に達していなかったときは、バッターランナーは2塁が許される。)
(H)1個の塁が与えられる場合=バッターに対するピッチャーの投球、または投手板上からランナーをアウトにしようと試みた送球が、スタンドまたはベンチに入った場合、競技場のフェンスまたはバックストップを越えるか、抜けた場合。この際は、ボールデッドとなる。
「規則説明」投手の投球がキャッチャーを通過した後(キャッチャーが触れたかどうかを問わない)さらにキャッチャーまたはその他の野手に触れて、ベンチまたはスタンドなど、ボールデッドになると規定された箇所に入った場合及びピッチャーが投手板上からランナーをアウトにしようと試みた送球が、その塁を守る野手を通過した後(その野手が触れたかどうかを問わない)さらに野手に触れて前記の箇所に入ってボールデッドになった場合、いずれも、ピッチャーの投球当時の各ランナーの位置を基準として、各ランナーに2個の塁を与える。
(I)フォアボール目、3ストライク目の投球が、球審かキャッチャーのマスクまたは用具に挟まって止まった場合、1個の塁が与えられる。ただし、バッターのフォアボール目、3ストライク目の投球が(h)及び(i)項規定の状態になっても、バッターには1塁が与えられるにすぎない。
「原注1」ランナーがアウトにされることなく1個またはそれ以上の塁が与えられたときでも、与えられた塁またはその塁に至るまでの途中の塁に触れる義務を負うものである。
例=バッターが内野にゴロを打ち、内野手の悪送球がスタンドに飛び込んだ。バッターランナーは1塁を踏まないで2塁に進んだ。バッターランナーは2塁を許されたわけだが、ボールインプレイになった後、1塁でアピールされればアウトになる。
「原注2」飛球が捕らえられたので元の塁に帰らなければならないランナーは、グランドルールやその他の規則によって、余分の塁が与えられたときでもピッチャーの投球当時の占有塁のリタッチを果たさなければならない。この際、ボールデッド中にリタッチを果たしても良い。また与えられる塁はリタッチを果たさなければならない塁が基準となる。
「注」バッターのフォアボール目または3ストライク目のピッチャーの投球が、(H)項「規則説明」の状態になったときは、バッターにも2塁が与えられる。
(c)ボールデッド
 次の場合にはボールデッドとなり、ランナーは1個の進塁が許されるかまたは帰塁する。その間にランナーはアウトにされることはない。
(1)投球が、正規に位置しているバッターの身体またはユニフォームに触れた場合=次塁に進むことが許されたランナーは進む。
(2)球審が盗塁を阻止しようとしたり、塁上のランナーをアウトにしようとするキャッチャーの送球動作を妨害(インターフェア)した場合=各ランナーは戻る。
「付記」キャッチャーの送球がランナーをアウトにした場合には、妨害がなかったものとする。
「原注」キャッチャーの送球動作には、ピッチャーへの返球も含む。
「注」キャッチャーの送球によってランダウンプレイが始まろうとしたら、審判員は直ちにタイムを宣告して、ランナーを元の塁に戻す。
 ボールデッドとなった際は各プレーヤーはアウトになったり、進塁したり帰塁したり得点することはできない。ただし、ボールインプレイ中に起きた行為(例えば、ボーク、悪送球、インターフェア、ホームランまたはプレイングフィールドの外に出たフェアヒット)などの結果、1個またはそれ以上の進塁が認められた場合を除く。
(3)ボークの場合=各ランナーは進む。(6.02aペナルティ参照)
(4)反則打球の場合=各ランナーは戻る。
(5)ファウルボールが捕球されなかった場合=各ランナーは戻る。球審は塁上のランナーが元の塁にリタッチするまでボールインプレイの状態にしてはならない。
(6)内野手(ピッチャーを含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域でランナーまたは審判員に触れた場合、あるいは内野手(ピッチャーを除く)を通過していないフェアボールが、審判員に触れた場合=バッターがランナーとなったために、塁を明け渡す義務が生じた各ランナーは進む。ランナーがフェアボールに触れても、次の場合には審判員はアウトを宣告してはならない。なお、この際は、ボールインプレイである。
(A)一旦、内野手に触れたフェアボールに触れた場合。
(B)1内野手に触れないでその股間または側方を通過した打球にすぐその後方で触れても、このボールに対して他のいずれの内野手も守備する機会がなかったと審判員が判断した場合。
「原注」打球がピッチャーを通過してから内野内に位置していた審判員に触れた場合はボールデッドとなる。フェア地域で野手によってそらされた打球がまだインフライトの状態のままランナーまたは審判員に触れ地上に落ちるまでに内野手によって捕球されても捕球とはならずボールインプレイの状態は続く。
「注」フェアボールがファウル地域で審判員に触れた場合、ボールインプレイである。
(7)投球が球審かキャッチャーのマスク、または用具に挟まって止まった場合=各ランナーは進む。
「原注」チップした打球が球審に当たってはね返ったのを野手が捕らえてもボールデッドとなって、バッターはアウトにならない。チップした打球が球審のマスクや用具にはさまって止まっても同様である。第三ストライクと宣告された投球がキャッチャーを通過して球審に当たったときは、ボールインプレイである。球審に当たってはね返ったボールが地上に落ちる前に捕球されても、バッターは直ちにアウトにはならない。ボールインプレイでありバッターは1塁に触れる前に、その身体または1塁にタッチされてはじめてアウトになる。第三ストライクと宣告された投球またはフォアボールの投球が、球審かキャッチャーのマスクまたは用具に挟まって止まった場合バッターに1塁が与えられ、塁上のランナーには1個の進塁が許される。
(8)正規の投球が、得点しようとしているランナーに触れた場合=各ランナーは進む。